労働至上主義

ブラックなどとメディアから揶揄されることがある、日本企業とその労働環境は、第2次世界大戦後の高度成長期に創られたと思います。

日本は、第2次世界大戦で、アメリカを相手に戦ったのですから、敗戦国となったとは言いながら、その後の経済戦争では、大戦を生き抜いた逞しい労働者と、360円という有利な為替レートなどの下で、連戦連勝したのだと思います。

そうした高度成長期、日本人はとにかく長く働いて、より多くの物を造り、国内や海外に売りさばくことによって、急速に豊かさを蓄積していきました。そして日本は、世界の工場とまで言われるようになりました。

私の父親も、戦時中の経験があったので、当時、仕事がどんなに忙しくても、戦時中に比べれば天国だと言っていました。

全てを失った日本中の人々が、将来に向かって希望を持っていたからこそ、目先の苦労を厭わなかったともいえます。

当時、優秀な経営者は、家族主義的経営を標榜し、社宅や独身寮、保養所などを建て、社歌、運動会、慰安旅行など、労働者の生活を24時間抱え込み、労働者とその家族が、会社に対して不満を持たないようにすることにより、日本中に労働至上主義を浸透させていきました。まさに、古き良き時代でした。

しかし、現在では、こうした労働至上主義では、リターンが得られない時代になっています。経営者にも労働者にとっても、難しい時代になったと思います。