日本国のイデオロギー

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明治維新以降、日本人は謙虚に欧米に追いつく努力をしてきた。第二次世界大戦後も敗戦国の国民であることを胸に刻み、再び世界から認めてもらえるよう、戦前にもまして欧米に追いつく努力を続けてきた。その甲斐あって、瞬く間に世界第2位の経済大国にのし上がった。しかし、それもつかの間、日本はバブルへと突き進み、バブル崩壊後、30年以上停滞が続いている。

バブル崩壊と時を同じくするように、なぜか日本人は、欧米から学ぼうとしなくなった。不思議なことだ。日本の戦後の成長は、欧米の模倣から生まれたと言っても過言ではない。欧米の技術、ビジネスモデルを取り込み、オリジナルを超えるレベルにまで精巧に磨き上げ、欧米にフィードバックすることにより、世界市場を席巻した。ところが、バブルを経て増長してしまったのか、日本人は、欧米から学ぶ姿勢を捨ててしまった。それが日本経済の推進力であったにもかかわらず。

これには、アメリカが一役買っていたと思う。Japan As Number Oneなどというアメリカ発の、日本人を油断させる「悪魔のささやき」に乗せられてしまったのだろう。「悪魔のささやき」により、もう欧米から学ぶものはないという「傲慢」が醸成され、平成日本の衰退がもたらされたと言える。

一方、平成日本は、衰退過程に入ったにもかかわらず、同じくアメリカ発の「グローバルスタンダード」という、日本式資本主義をぶち壊す「魔術」にはまってしまった。世界第2位の経済大国というプライドからか、日本こそが「グローバルタンダード」の守護者にならなければならないと。あっさり魔術にかかり、「廃仏毀釈」のように、それまでの日本式資本主義を自らの手でぶち壊してきた。

日本人の日本人たる思想や行動、生活様式に根ざし、日本人のアイデンティティである観念や信条と調和した日本式資本主義というイデオロギーを捨てて、グローバルスタンダードという「魔術」を無批判に受け入れる必要など全く無かったはず。今からでも遅くない、私たち日本国のイデオロギーを取り戻そう。