格差という悪夢

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社会主義共産主義も駆逐され、資本主義経済システムが世界のグローバルスタンダードとなり、世界中の国々で規制緩和や自由競争が推し進められた。その結果、最適な国や地域で、より効率的に比較優位性を持つ製品やサービスの提供が可能となり、国際分業が進展し、世界市場が創出された。

この世界市場創出のプロセスとまさにシンクロナイズされたかのように情報通信技術の飛躍的な進歩による情報革命が進んだ。情報革命により通信コストは著しく低下し、とりわけインターネットによる情報通信には、ほとんどコストがかからなくなった。これにより世界中で新たなビジネスモデルが生み出された。情報革命が国や地域を越えたビジネス活動を容易にしたことによりグローバル化が推し進められたからである。

世界市場の創出と情報革命という大変革の中で、国家をも凌ぐ巨大グローバル企業が誕生した。その代表格はGAFAと総称されるアメリカのIT企業Google, Amazon, Facebook, Appleである。高度情報化社会となった現代の最強のビジネスツールであるITを自在に駆使する企業。まさに「時代の申し子」である。

この変革の中では、これまで何十年にもわたって成長と利益を生み出してきた伝統的ビジネスモデルに立脚した大企業といえども、新たなビジネスモデルを模索し、見つけ出さなければ、容赦なく淘汰される。誰かのやったことや既成のビジネスモデルでは通用しない時代である。まだ、誰も知らない、あるいはやったことがない新しい何かを見つけ出さない限り、何もできないし、何者にもなれない時代。そこには、ひと握りの勝者と大多数の敗者。しかも、その勝者が富と名声を総取りする。不平等ではないが不公平な世界。

この世界では、富裕層のトップ8人が持つ資産が、70億を超える世界の全人口の下から半分にあたる人々の持つ資産の総額とほぼ同じと言われている。これはドリームではなく、まさに悪夢である。拡大する格差を止めない限り、この世界に明るい未来はないだろう。