恐ろしい終身雇用の時代

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昭和の終わりのバブルの時代は、積極的に資産運用をしなくても、郵便局や銀行の定期預金、積立式の生命保険に預けておけば、元本保証で年6パーセント以上の利回りが得られた。特別な金融知識を持たない普通のサラリーマンでも、現役時代にトータルで数千万円の金融収益をあげられた。そのうえ、今よりはるかに多い退職金を、現役時代の様にリスク無しで、高利回りで運用できた。当時は、不動産価格も右肩上がりだったので、ローンで買ったマイホームに何年か住んで売却すれば、ローンの残額を返済しても、お釣りがくるくらいの売却益を手にできた。古き良き時代である。

しかし現在はというと、経済が停滞し、ゼロ金利で、不動産価格も下がり、資産運用など夢のまた夢。サラリーマンの給料は、上がらないうえに、非正規雇用が拡大し、正社員の終身雇用は崩壊寸前。政府に後押しされ、企業側も定年延長を進めているが、企業には「資本の論理」がある。社員の定年を65歳そして70歳と延長しても、企業は、社員に払う労務費の総額(総労務費)を決して増やさない。社員の側から見れば、定年が延長されても、働く期間が長くなるだけで、退職までの報酬の総額は変わらないということ。しかも、年金は減り、税金や社会保険料などの負担だけが増え続ける。そのうちに、終身雇用がなくなれば、退職金もなくなるだろう。このままでは、身ぐるみ剥がされて丸裸である。

とにかく、これからのサラリーマンは日銭を稼ぐだけで精一杯。ライフプランを描く余裕もなくなるだろう。「毎日が日曜日」とか、「退屈でぼける」などと贅沢を言っていられた時代も今は昔。生きていくために死ぬまで働かなければならない、本当に恐ろしい意味での「終身雇用」の時代の到来だ。