「武器よさらば」バーチャル戦争の時代

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将来、AIITの力で、何もかもがバーチャル化していくと、そのうち「バーチャル戦争の時代」が来るのではないか。人と人が殺し合いをする代わりに、「バーチャル戦争」で決着をつける時代。今は、誰もそんなことは起こり得ないと思うだろう。しかし、今の世の中を見渡してみれば分かるとおり、100年前には誰も想像すらしていなかったものばかり。

とは言うものの、「バーチャル戦争」で負けたために、日本という国が消えて、どこかの国の支配下に置かれるなどという現実を、誰が甘受できるというのだろう。確かに、現在の私たちの感性からは、「そんなことは無理」となるだろう。しかし、人間の感性などというものは、時代とともに大きく変わるもの。「バーチャル戦争」が登場する未来の人間にとって、至極当たり前のことになっているのではないか。

とにかく、話し合いで解決できなくなった国際紛争を、誰も殺さず、何も破壊せずに決着できるような時代が到来するということは、素晴らしいことだ。

全ての兵器を無力化するプログラムや、レーザー光線や電磁パルスで、兵器を制御するAIIT機能を無効化できるようになれば、戦争などできなくなるだろう。とは言うものの、そんな時代になっても、AIITとは無縁な、銃や大砲や爆弾のようなアナログな武器は使える。ただ、そんなものは警察活動や治安維持には使えても、未来の国家間の戦争では、無力な過去の遺物となっているだろう。

ところで、戦争ができなくなった未来とは、どんな未来なのだろう。驚くなかれ、既にそれは、日本国憲法9条第1項「戦争の放棄」に書かれている。

世界の「国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」というユートピアの世界だ。

ただ、戦争ができなくなったからといって、国際紛争が無くなるわけでははない。憲法9条第1項もよく読めば、「国際紛争は永久に無くならない」という前提で書かれている。権力者という者は、国際紛争を解決する手段としての戦争が大好き。そんな戦争大好き権力者のために必要なのが、誰も殺さず、何も破壊しない「バーチャル戦争」ということになる。

「バーチャル戦争」という新しいコンセプト創りについては、おそらく、ルールやスタンダードの構築が得意なアメリカ人が知恵を絞ってくれるだろう。後は、中国人とロシア人が素直にこの新しいコンセプトを受け入れてくれれば、お膳立ては万全。と思ったが、これでは武力による戦争がなくなるだけで、今と何も変わらないではないか。しかし、少なくとも、これで国際紛争を、誰も殺さず、何も破壊せずに決着させることができるなら、喜ぶべきことだろう。

コロナに囚われた日常、たまには「バーチャル戦争の時代」なんて想像してみるのも楽しいのではないか。おっと、ここまで書いてきて最後に気がついた。コロナのような生物化学兵器は、当分、無力化できそうもないということを。やっぱり「バーチャル戦争」なんて無理か。