会社組織は大きくなればなるほど、人事制度の名の下に、社員を目標に向かって効率的に束ねようとする。そこでは一人一人の権限や役割は細分化され、縦割りの官僚主義が蔓延する。
仮に一人一人の社員が優秀で、素晴らしい理想と信念を持っていても、組織の一員として集団化され、各人のベクトルを一つにまとめようとする組織の力により、個人の能力や個性は失われる。
こうした、組織の現実に気づき始めたとき、「自分はどう生きればよいのか。このままで本当によいのか。」という、自分の力ではどうしようもない課題を抱え、その解答を探して思考のループを繰り返すことになる。しかし、これは誰にでもいつか訪れるもの。あまり心配する必要はない。
入社したての身軽な時代を過ぎると、会社の中での熾烈な競争ばかりでなく、独立して自分の生活を支えていかなければならなくなる。自分の居場所を確保し、立身出世と自らの幸福を同期化できればベストだが、それは難しい。
会社の業績向上と発展に貢献していると思っていても、会社の下す評価がかけ離れているなどということはざらである。しかし、現代の会社は成果の世界。とにかく成果を出し続けて出世していかなければ如何ともしがたい階級社会。しかも、受験や学生時代と違って、ペーパー試験で一発逆転ということもない。気の遠くなる程、果てしなく続く、失敗の許されない緊張と忍耐の日々。
超のつく大企業でも、役員になれなければ、定年まで本体で働けるのはごく少数。普通の社員の会社人生は、出向、リストラ、合併、倒産など茨の道。就活成功などと喜んでいられるのは入社の日までかもしれない。
