大会社が なぜ衰退するのか それは 市場環境の変化や顧客の視点を顧みなくなり 重要なこと 核心に触れること 真剣に議論することを避け ビジネスマンの本能である経済合理性すら見失ってしまうからだ

「日本を代表する大会社」が、次々と没落していく。もはや、歯止めが効かない状況だ。

なぜ、大会社は、衰退するのか。

大会社では、利益を上げる事業部門の、社内でのステイタスが上がる。

部門のステイタスが高くなれば、「人、物、金」の経営資源を、より多く使うことができるようになる。

当然、その部門で働く人間の「業績」は、向上する。しかも、人事考課も報酬も、「業績」連動だから、人事考課は良くなるし、報酬も増える。

いいこと尽くめだ。

そんな、いいこと尽くめの部門には、労せずして甘い汁を吸おうと、社内政治に長けた人間(いわゆる「社内政治家」)が集まってくる。

元々、利益を上げて、成長する事業部門には、他社との競争に勝ち抜き、業績を上げてきた、能力と気概を持つ社員が多い。だからこそ業績を伸してきたのだ。

ところが、業績向上による組織の拡大に伴い、「砂糖に群がる蟻」のように、社内政治家たちが集まってくる。

彼ら彼女らは、日頃から、社内のどの部門に行けば、出世コースに乗れるか、鵜の目鷹の目で、探している。

社内政治家は、仕事はできないが、人を蹴落とすことにかけては、類い希な能力を持っている。彼ら彼女らに、かかっては、真面目な仕事人間など赤子同然。

そんな、社内政治家たちが、いつの間にか、手練手管で、元々、その部門にいる人間の上に立ち、コントロールするようになる。

こうなると、誰も、社内政治家たちに、楯突くことができなくなる。まともな人間は、部門から放逐され、社内政治家と配下の人間が牛耳る、ブラックな事業部門になり下がる。

社内政治家たちは、仕事が嫌いだから、コスト、技術、営業力で、真剣勝負をするという「正攻法なビジネス」など、まどろっこしくてやってられないということになる。

もっと、手っ取り早く儲ける方法はないかと、悪知恵を働かせる。まさに、社内政治家の独壇場だ。

「ビジネスなんて、儲かりさえすれば、結果オーライ」、「コンプライアンスなんて、糞食らえ」と、労せずして、利益を上げられる「ブラックな仕組み作り」に奔走する。

しかし、こんなことを続けていると、当然のことながら、競争力は著しく劣化する。

競争力が、劣化するから、ますます、ブラックな仕組みに頼らざるを得なくなるという悪循環に陥る。

こうして、社内随一の事業部門が、ブラック化して、競争力を失う。

これだけでも、大問題なのだが、社内随一の事業部門を足がかりに、メジャーにのし上がった社内政治家たちは、管理部門にまで支配の手を伸ばして行く。

ここまで来ると、もう止まらない。

最終的には、経営陣までもが、目先の利益を優先して、儲けてさえいれば、「正攻法のビジネス」なんて、どうでもよいとなる。

優秀な人間が、腐るほどたくさんいる大会社なのに、誰も、市場環境の変化や、顧客の視点を顧みなくなり、重要なこと、核心に触れること、真剣に議論することを避け、ビジネスマンの本能である経済合理性すら見失ってしまう。

もはや万事休す。会社の成長力は、著しく劣化する。

大会社の多くは、こんなプロセスを経て、衰退していく。