強欲資本主義と法外な役員報酬

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会社というものは、知恵を使って合法的に他者から金を奪いとる仕組みともいえる。知恵と元手さえあれば、学歴や資格が無くても、会社を設立し経営していくことができる。しかも、経営者となって競争に勝ち続ければ、資本主義社会の勝者になることができる。ただし、その確率は限りなくゼロに近いが。

資本主義社会の勝者となった大企業の経営者は、莫大な報酬を得ている。政治家や医師や弁護士、高級官僚、芸能人などよりはるかに稼いでいる。

金こそが資本主義社会における万能の力の源。大企業経営者こそが資本主義社会の勝者であり支配者。

香港の民主化闘争を見ていて感じる。香港の若者達は、中国の支配を嫌って戦っているようだが、彼ら彼女らのような、自由や民主主義を求める若者達も、ひとたび大企業に就職すれば、そこに待っているのは、CEOという独裁者の支配する世界。若者達から全ての自由を奪い取り、その人生をも拘束し企業に従属させようとする全体主義社会。

強欲な資本主義が、世界中の人々から合法的に富や自由を奪い取り、人権を踏みにじっているにもかかわらず、なぜか若者達は、それには無頓着。自分もいつかはCEOになれるなどと勘違いをして、批判すらしない。悲しい限りだ。

何世紀にもわたる闘争の結果、手にしたはずの自由と民主主義の世界の中に、いまだに残存する大企業と言う名の独裁社会。この独裁社会を巧みに操り利益を上げることで莫大な報酬を得る経営者。

今こそ、レバノンに逃亡したゴーン氏のような強欲経営者の報酬の在り方を見直すべきだ。法外な報酬は経営者の金銭感覚を破壊する。そもそも、経営者は、サラリーマンと違い、交際費や会社経費をふんだんに使えるので、日常生活では1円も使わなくてすむ。その一方、普通のサラリーマンは、下手をすると社用の場合でも自腹。通勤定期券ですら、最短ルートを使わないと、超過分は自腹。そうしたつましさの中で、家族を支えている。サラリーマンの夢と言われる年収1000万円でも、おそらく、その生活は地味なもの。一方、ゴーン氏のような経営者にとっての1000万円は、庶民の1万円くらいなもの。15億円の保釈保証金が没取されても痛くもかゆくもないのだろう。彼にとっては、社員など、原価償却費数百万円/年の設備のようなものだったかもしれない。古くなって使えなくなった設備は除却(リストラ)するだけ。

最近の資本主義は狂っている。経営者だけに、使い切れない報酬を支払って一体どうするのか。高い報酬を払わないと、有能な経営者がこないなどと強弁する経済評論家もいるが、法外な報酬に値する経営者など、世の中に、本当にいるのだろうか。たまたま、運がよかっただけとか、合法的に他者から金を奪いとる仕組み作りに長けているだけだろう。

株主も、「ぼーっと」してないで、社会や新たな経済活動に還元されない法外な役員報酬をカットして、本当に付加価値を生み出している社員の報酬アップを図るべきだ。