ゼロ金利と高齢化がもたらすもの

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昭和の時代には、現役時代に、国債養老保険や定期預金、さらには不動産や株式の運用などで、あまりリスクをとらずに金融資産を増やすことができた。定年後は、現役時代に蓄えた金融資産と退職金などの運用と年金で、安泰な老後生活を送れた。しかし、それは70代以上の人の話。現在のように、経済の停滞とゼロ金利が続く限り、普通の人が資産運用で利益をあげることなどできないだろう。そうなると老後も働き続けるしかなくなる。

昔は、働かないと退屈過ぎてボケるなどと言う人もいたが、現在の高齢者には、そもそも仕事を選り好みできる余裕などない。仕事があったとしても、賃金は安く労働環境も劣悪だったりする。もし、65歳以上の高齢者にも、妥当な賃金で普通に働ける仕事があれば、年金の繰り下げ受給者の割合が1%台などと言うことはないはずだ。

「高齢者は、好きで働いているのだから、働けるだけで満足だろう」などと勝手に判断され、劣悪な環境下で、我慢を強いられて働くようなことはあってはならない。蓄えのない高齢者が、いつまでも低賃金、劣悪環境で働き続け、心身を病むなどということが罷り通り、高齢労働者が、かえって、労働環境の破壊者となってしまうような世界など想像するだけでぞっとする。今こそ政治の力で、世代間の利害対立のない、共生社会を実現して欲しい。